「囲碁で脳を活性化!認知症の予防・進行の抑制と改善への効果」
飯塚あい(Ai IIZUKA)
東京都健康長寿医療センター研究所研究員(社会参加と地域保健研究チーム)
医学博士、日本老年医学会認定老年病専門医
囲碁はボケ防止に最適と聞いたことがありますか?
まさに囲碁は、認知症の予防・進行の抑制と改善に効果のある遊びなのです。
脳の機能を維持するためには、運動や食事の他に、頭を使い続けることが大切です。
頭を使う活動というと読書や手芸など様々な活動がありますが、中でもテーブルゲームの効果は近年世界的に注目されています。
テーブルゲームには将棋、麻雀、オセロなど色々な種類があり、それぞれ特徴を持っています。私は、囲碁には以下のような特徴があると考えます。
①基本的なルールが簡単なので、どんな人でも楽しむことができること
②打つ手の選択肢が無限にあり、脳への刺激が非常に強いこと
③広い盤面のあらゆる部分に注意を向けるという、大局観が必要なこと
④序盤、中盤、終盤と局面により様々な認知機能を使う必要があること
これらは、他のゲームにはない囲碁ならではの特徴です。
これまでの研究から、囲碁が高齢者の注意力や、ワーキングメモリ(記憶力に関連する能力)を改善させ、大脳基底核や前頭葉という日常生活に強く関わる高次の脳機能を活性化する可能性が示されました(Iizuka, 2018, 2019, 2020)。
このことから、囲碁を新たに始めたり、囲碁を趣味として継続して楽しむことにより、将来の認知症の発症を抑え、進行を緩やかにし、改善させることができると考えます。
囲碁は、飽きることなく継続できる生涯学習であり、人と人との絆をつなぐゲームです。
皆さんも新しい生きがいとして、囲碁を始めてみませんか!?
参考文献)
- Iizuka A et al, Neural substrate of a cognitive intervention program using Go game: a positron emission tomography study. Aging Clin Exp Res. 2020 Jan 17.
- Iizuka A, et al. Does social interaction influence cognitive intervention programs? A randomized controlled trial using Go Game. International Journal of Geriatric Psychiatry, 34, pp. 324-332. 2019.
- Iizuka A et al. Pilot Randomized Controlled Trial of the GO Game Intervention on Cognitive Function. American Journal of Alzheimer’s Disease and Other Dementias, 33(3), pp. 192-198. 2018.